売上原価算定の際、嫌気がさすのが、仕入や売上だけでなく、戻し(り)・割り戻し(り)・割引などの勘定科目が出てきたとき・・・
なんで、こんな似たような言葉が並んでいるのでしょうか・・・
まぁ嘆いていても仕方がないので、この記事では、上記の違いや仕訳・そして引当金の処理までをまとめます。
三分法と九分法の違い
商品売買には「三分法」と「九分法」というものがあります。
「三分法」とは、戻し(り)・割り戻し(り)・割引等を仕入、売上勘定でまとめて処理する方法。「九分法」とは、それぞれの勘定で処理する方法です。
三分法 | 九分法 | P/L表示 | |
---|---|---|---|
仕入時 | 仕入 | 仕入 | ー |
仕入値引時 | 仕入値引 | 売上原価から控除 | |
仕入割戻時 | 仕入割戻 | ||
仕入戻時 | 仕入戻し | ||
売上時 | 売上 | 売上 | ー |
売上値引時 | 売上値引 | 売上から控除 | |
売上割戻時 | 売上割戻 | ||
売上戻時 | 売上戻り | ||
商品 | 商品 | 商品 | ー |
※「値引」とは、不良・破損等により対価から控除する事。 ※「割戻」とは、多量の取引によりリベートを行う事。 ※「戻」とは返品する事。 |
尚、割引は上記に当てはまらず、「仕入(売上)割引」という勘定科目で営業外費用または、営業外収益として処理します。
引当金の処理
また一旦、売り上げた商品が、割り戻し・返品されることは引当金の要件に該当する為、「売上割戻引当金」や「返品調整引当金」を設定します。
◆引当金の要件
・将来の特定の費用または損失
・発生が当期以前の事象に起因
・発生の可能性が高い
・金額を合理的に見積もれる
◆引当金の分類
・評価性引当金(貸倒)
・負債性引当金
→債務性引当金(売上割戻・返品調整・賞与・退職給付…)
→非債務性引当金(修繕・役員賞与・損害補償損失…)
売上割戻引当金の仕訳
①売上金100,000円に対して2%の売上割戻引当金を設定。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
売上割戻引当金繰入 | 2,000円 | 売上割戻引当金 | 2,000円 |
売上割戻引当金繰入は、売上から直接または間接的に控除して損益計算書には記載します。
②売上の割戻しを行ったため、掛け金と相殺。割り戻しの金額は2,000円で前期に販売した1,500円が含まれている。
前期販売分:売上割戻引当金で処理
当期販売分:売上を控除
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
売上割戻引当金 | 1,500円 | 売掛金 | 2,000円 |
売上 | 500円 |
返品調整引当金の仕訳
①売掛金残高100,000円に対して返品調整引当金を設定(返品率:5%、原価率80%)
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
返品調整引当金繰入 | 1,000円 | 返品調整引当金 | 1,000円 |
返品調整引当金繰入は、売上総利益を調整する方法で損益計算書には記載します。
②返品されたため、掛け金と相殺。金額は1,000円で前期に販売した500円が含まれている。
前期販売の利益部分:返品調整引当金で処理
前期販売の原価部分:仕入れから控除
当期販売分:売上を控除
借方 | 貸方 | ||
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返品調整引当金 | 100円 | 売掛金 | 1,000円 |
仕入 | 400円 | ||
売上 | 500円 |
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